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和味亭 たなか家

店主
田中固 さん

和食一筋35年の経験を生かし開業!
名物料理は絶品「穴子の一夜干し」

旬の肴、週の酒で美味万歳―をテーマに和食一筋35年の経験を持つ店主の本格的な和食をリーズブルに味わえる中区小町の「和味亭 たなか家」。厳選された地元素材で和食懐石から創作和食まで幅広く対応する店主の田中固(たなか かたし)さんの飲食業への想いとは?…ジャックが聞かせていただきます

料理の世界に進まれたきっかけをお聞かせください。

田中さん

広島市安佐南区出身、1972年3月生まれの50歳です。子供の頃から釣りが大好きで、父が料亭「半べえ」の総料理長だったこともあり、魚のさばき方を教えてもらうなど、早くから料理に親しんでいました。もともと勉強が得意ではなかったし、中学校卒業後はそのまま父の下で修業することに。親子である前に師弟関係となってしまいました。幼い頃から包丁を握ってきたので他の人より上達も早かったようです。10年ほど修業を積むと調理人として、ひととおりこなせるようになったので、25歳くらいからは他店の料理長を任され、広島市内や東広島市の老舗料亭など7軒で腕を磨きました。

穏やかな表情でインタビューに応じてくださる田中さん

進むべくして進まれた和食の道ですが、修業されてみて感じたことは?

田中さん

よく言われるように和食は奥が深いので、修業中はもちろん、独立した今もまだまだ勉強中です。伝統的な料理は別にして時代と共に料理も変わっていきますからね。その時代のニーズにあった料理を提供しなければいけません。

同時に和食の調理方法も変化しています。例えば、洋食では20年くらい前から当たり前だった真空調理が和食では今頃になってようやく浸透してきました。厨房機器にも蒸し料理や焼き料理など複数の調理方法が可能なスチームコンベクションが導入されてきたり、わたしが修業時代に覚えた料理は、もはや時代遅れで提供できない気がします。

「本格的な和食をリーズナブルな価格で召し上がって欲しい!」と常々思って経営されています

さて、独立されて開かれた「和味亭 たなか家」のお話を聞かせてください。

田中さん

オープンしたのは2016年8月。中区小町というオフィスが集積する場所柄、お客様は中高年のビジネスマンが主体です。店のコンセプトには「本格的な和食の味をリーズナブルに!」を掲げて、旬の食材を使った懐石料理のオードブルからコースまで、なるべく他所の店にない料理を提供するように心掛けています。

数あるメニューの中、広島ではウチでしか食べられない名物料理としているのが「穴子の一夜干し」です。対馬産の肉厚で脂がのった穴子を仕入れ、皮目を焼いてオリジナルの味付けを施した自慢の一品で、リピートされるお客様も少なくありません。お酒の方は、もともと自分が酒好きなので料理に合う銘柄をチョイスして取り揃えています。

わたしのほかに、明るい性格で人とお話しするのが大好きな女将、妻の百合枝もお相手しますので、ビジネスマンのみなさんが旨い料理と酒で楽しい時間を過ごす“隠れ家的”な場所になることができれば幸いです。

名物料理としている自慢の一品「穴子の一夜干し」

ちょうど女将さんがおられますね。ひとことお願いします。

女将さん

オープンして今年8月で丸6年を迎えます。それまで、わたしは飲食業に携わったことがなかったし、夫婦で一緒に店を持つのは初めてのこと。朝から晩まで夫婦で一緒にいる生活が始まり、職人そのものの主人と経験ゼロのわたしですから、店を始めた当初は些細なことでぶつかって喧嘩が絶えませんでした(笑)。いまはお互いよく話し合いしますし、わたしも店に立つのが楽しくなっています。

瀬戸内の鮮魚や地産地消の食材を使ったメニューが多いのが特長です

なるほど、ベストパートナーなんですね

女将さん

主人は仕事に対してストイックで手を抜けない完璧主義ですが、この人が作る繊細な料理を多くの人に食べて欲しいと思います。本格的な和食については素人のわたしも、最近は他所の料理を食べると「うちの料理の方が絶対に美味しい」と感じますからね。和食一筋35年の料理職人の主人と、お客様とのおしゃべりが大好きな接客担当のわたし。この最強タッグ!?で、これからも「和食を食べたい時は、たなか家に行けば間違いない」とみなさまに納得していただける店づくりを目指します。

ご主人は、広島でも数人しか持っていない日本調理師連合会の師範状をお持ちです!

最強タッグに期待しています。たなか家さんといえばお弁当も評判ですね。弁当を始められた理由は?

田中さん

オープン時は知り合いが駆けつけてくれましたが、1週間も経つと、店の場所も裏通りだし、自分の知名度があるわけでもないし、客足はまばらになり「このままでは一年持たないのでは…」と不安になったものです。現実の厳しさに直面していたある日、お客様の製薬会社の方から弁当を発注されたんですよ。それを機に病院や企業さんから弁当を依頼される機会が急増し、一日100個作る日も。日によっては、お店の夜の営業よりも弁当の方が忙しくなったものの、これでなんとか盛り返すことができた次第です。

弁当業務が加わったことで、忙しい時は早朝4時、5時から弁当を作って、休む間もなく、そのまま本来の店の仕込みをして夜10時まで営業することもあります。寝る間を惜しんで働くため、疲れて果てて自宅まで帰るのがしんどい時などは、ついつい店の板の間に座布団を引いて仮眠してしまいますね。

お弁当や仕出しにいれる惣菜は種類が多いため仕込みに時間がかかる

なるほど。そのほか今日まで何かご苦労されたことはありましたか?

田中さん

一番困ったことと言えば、やはりコロナの感染拡大です。開業して丸6年営業してきたうち、半分くらいの期間はコロナの影響を受けてきました。世間の自粛ムードだけでなく、近隣の大手企業のビジネスマンのお客様がほとんどを占めるウチの場合、会社自体が夜の接待や飲食を禁じるケースもあり、どうにもこうにも手の打ちようがありません。昨年から今年にかけてのピークからは脱出しましたが、一日も早くコロナが完全に収束し、普通に暮らせる日々が戻ることを願っています。

コロナ禍に負けない飲食店経営を目指して!日々精進されています

これから飲食店を開業される方に先輩としてアドバイスがあれば。

田中さん

飲食店の仕事は“人間対人間”が基本だと思います。常に人を敬い、我が身を慎むこと。自分自身も「お客様は神様」を信条に日々、一生懸命仕事に取り組むように努めています。店が繁盛して軌道に乗ったとしても、自分の店に足を運んでくださる方をないがしろにすることだけはしないように。

わたしはゴルフが趣味なので、お客様と親睦を深めるために年2回「たなか家コンペ」を開催しています。店と客という関係だけでなく、自分の店をベースに人と人とのつながりを増やし、絆を深めていくことも大切なことではないでしょうか。

店内はグループ客で楽しめる広い座敷と一人客でも使いやすいカウンター席

ジャックのひとこと!

ジャック

このお店のウリの一つに「料理の美味しさ」が上げられます。お店には、ご主人の目利きや調理技術を活かした、推しとなるメニューがいくつかあり他店と差別化を図っています。
他店とは違うオリジナルのメニューを持つことは、お客さまの来店動機や通っていただく理由となるため、お客さまが飽きないように常に開発し改良していくことが大切です。
また、たなか家さんは、お弁当や仕出しなどの中食にも力を入れており、百貨店へもお弁当を卸していらっしゃいます。お持ち帰りやデリバリーなど販売ルートを広げること、店舗以外で売上げを確保することは、コロナ禍の時代、安定的な店舗経営には欠かせません。
さらに、女将さんの明るい接客も常連客さんを増やすことに一役かっています。どんなに料理が美味しくても、接客やお店の雰囲気に問題があると、なかなか常連客が増えてくれません。たなか家さんの店舗経営はコロナ禍に合ったやり方で、とても参考になりますね!

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