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お好み焼き・鉄板焼き そり家

代表
曽利修 さん

広島の味を伝えるこだわりのお好み焼き
一見強面な店主のあたたかいおもてなしも魅力的!

いつも感謝の気持ちを持って、お客さまに笑顔になって感動して帰ってもらいとお店を開いている中区八丁堀の「そり家」。そり家の「家」は、お客さまにとってわが家のように落ち着けるお店にしたかったから。こだわりの鉄板料理やお好み焼きを焼き上げる店主、曽利さんの飲食業への想いとは?…ジャックが聞かせていただきます。

飲食業の世界に進まれたきっかけをお聞かせください

曽利さん

広島市中区牛田出身、1974年2月生まれの49歳です。高校は、広島県立宮島工業高等学校に進学しました。勉強は得意ではなかったのですが、友達に恵まれ、とても楽しく学生生活を過ごしました。高校を卒業後は、神戸の方で就職し、鉄を製造する熱処理工程の仕事を担当していました。
二十歳になった頃、広島へ戻りたいと考え、単に会社を辞めることを決意しました。特に具体的な理由はありませんでしたが、その時に「お好み焼き屋を始めたい」と思いつきで話して仕事を辞めました。
料理の経験がほとんどなかったため、広島に戻り日本料理店で修業を始めましたが、理不尽な状況になかなか耐えることができず、長く続けることはありませんでした。
その後、居酒屋やお好み焼き店でアルバイトをしながら、23歳の時に天満町の屋台村で焼き肉店をオープンしました。しかし、何も知識や経験がないまま経営を行っていたため、状況は良くありませんでした。さらに狂牛病の問題もあり、最終的に閉店せざるを得ませんでした。

インタビューに答えてくださる曽利さん…優しい笑顔と鍛えられた体が魅力的です!

一度、飲食店を閉店されているのですね、その後はどうでしたか

曽利さん

私は、早くに結婚しており子供もいたため、家族を養っていく必要がありました。自分の経験を活かして、建設機械の会社で溶接業の契約社員として働き始めました。最初は契約社員でしたが、後に正社員になり、安全衛生統括責任者として多くの部下を指導しました。
また、製造業を中心に企業の経営構造革新などに関与する一般社団法人のある協会では、企画委員として活動しました。そして、この経験を通じて、外資系コンサルティングファームに転職しました。
さまざまな職業を経験しましたが、2018年12月には私の夢であったお好み焼き店「そり家」を開店することができました。

そり家を開くまでは飲食店だけでなく、いろいろな職業を経験されたのこと

開業した当初は、どうでしたか

曽利さん

開店当時のお店の強みは、多くの仲間や知り合いを持っていることでした。オープン時にはたくさんのお花やご祝儀をいただきました。最初の1ヶ月は、人脈を頼りにお客さんがたくさん来店していましたが、しばらくすると落ち着きました。
コロナ禍の間は、苦戦しましたね。地元のお客さんだけでなく、観光客も減り辛抱をする時期でした。今はおかげさまで、少しずつ客足も戻って来ているように思います。

満面の笑みで店内にご案内してくれるポーズがおちゃめです(笑)

開業に際して困ったことや苦労したことはありましたか

曽利さん

最初は手書きのメニュー表しかなかったため、お客様が注文しにくかったと思います。メニュー表を作成したことがなく、私の頭の中のイメージだけで注文を取っていたからです。
また、周りの方々からは、この場所は入れ替わりが激しく大変だという厳しい意見をたくさん聞いていましたし、近隣には他の有名なお好み焼き店が展開しているため、お客さまから「○○というお好み焼き屋さんはどこにありますか?」といった質問を受けたり、「○○が混んでいたのでこちらに来ました」といった辛辣な言葉をいただくこともあり、悔しい思いもたくさんしました。
さらに、私の風貌が強面であったため、お店に入ったお客さまが退店したり、席についている方が帰ってしまったりすることもあり、少し寂しい思いもしました。

キャベツのシャキシャキした食感と甘みを大切に丁寧に焼き上げています

どのようなことに気をつけて店舗経営していましたか

曽利さん

経費削減と外部流出費の抑制に注力しました。営業時間外ではエアコンを使わず、ダクトの掃除や床のワックス掛けなども全て自分で行いました。人件費も妻と共同で担当し最小限に抑え、夕方からアルバイトを1人採用するだけで運営できるようにしています。
また、常に逆説を引くようにしています。人が良いということに必ずしも飛びつかず、現状を把握するために何もやらないところからスタートさせています。状況を踏まえながら、少しずつ試しながらやってきました。

そり家鶏チーズダッカ…ピリッと辛く炒めた鶏肉と、とろーっと絡んだチーズが絶妙です

店舗経営していく上で大切にしていることをお聞かせください

曽利さん

一番大切なことは、感謝の気持ちと謙虚さを忘れないことです。仲間やお客さま、従業員、そして食材に対してすべてに感謝の気持ち、謙虚であることが重要だと思います。
温かい雰囲気で笑顔が溢れるお店作りを心掛け、お客さまの心を安らかに居心地の良い空間を提供したいと考えています。
また、従業員が楽しく働ける環境を大切にしています。それは、従業員が幸せを感じるお店でなければ、お客さまも満足してくださらないと考えているからです。日々、その実現に向けて努力していますが、まだまだ改善の余地があると思っています。

ホルモン野菜炒め…ピリ辛のタレにぶりぶりのホルモンのジュワ~とあふれる甘い脂と野菜が絡み合った一皿

料理の特長やメニューについてのこだわりをお聞かせください

曽利さん

お客さまに自信を持って提供できるメニューを揃え、鮮度の良い野菜を中心に厳選した食材にこだわっています。当店自慢のお好み焼きは、キャベツのシャキッとした食感と甘み、そして製麺所から届く生中華麺のもっちり感を絶妙に組み合わせ、丁寧に焼き上げています。

ネギかけ肉玉そば…こだわりのお好み焼きを愛情たっぷりに焼き上げています

今後のビジョンについてお聞かせください

曽利さん

この7月から、ECサイトでお好み焼きの冷凍販売をしています。お好み焼きの冷凍販売は、国内だけでなく、私が個人的にチャンネルを持っている東南アジア市場にも展開することを視野に入れています。また、将来的には、障害者やシニアの方々を雇用したセントラルキッチンを設立し、それらをシステム化することを考えています。

お店は常に清潔に!ピカピカに磨き上げられた鉄板に掃除の行き届いた厨房

ECサイトの他にも考えていることはありますか

曽利さん

私はコンサルティングの経験がありますので、開業サポートを行うことができます。具体的には、これから開業を目指す方のためにシェアキッチンを提供したいと考えています。
必要なものや手続きについて情報提供するだけでなく、お店を開く前に実際にこのシェアキッチンを利用してテスト運営を行うことも可能です。これにより、自分のお店の運営方法や課題を把握し、よりスムーズな開業を目指すことができます。

店内はカウンター席の他、テーブル席や座敷もあります

これから飲食店を開業される方に先輩としてアドバイスがあれば

曽利さん

借金をしての開業はリスクが高いと考えます。もし確固たる成功するビジネスモデルがあるのであれば話しは別ですが、自身の経済状況に見合った範囲で開業することが重要だと思います。私自身も、カウンターしかない小さな焼肉屋からスタートしました。
夢だけでなく、明確な目標や計画を立てることが成功へのカギですかね。その理念を伝えるためにもシェアキッチンを始めて開業サポートを提供したいと思っています。
また、常に引き際を考えながらビジネスを運営することも重要です。長引く困難な状況に陥らないようにするために、いつまでもズルズルといかないようにすることが大切ですね。

ビールを持って素敵なポスターに!ビールメーカーさんが作ってくださったとのこと

ジャックのひとこと!

ジャック

飲食店経営は、流行の波に敏感であり、現金取引も多いため、常に迅速な対応が求められます。そのため、特にPDCAサイクルを早く回すことが重要と言われています。PDCAサイクルは、計画を立て実行し、結果を確認し、改善を繰り返しながら業務を見直す手法です。
そり家の代表である曽利さんは、かつてコンサルティング業務に携わっていた経験もあり、その経営スタイルは堅実そのものであり、ビジョンを持ち続けながら常にPDCAサイクルを回し改善を重ねています。
また、人とのご縁や繋がりを非常に大切にされており、人が集まりやすい居心地の良いお店づくりに取り組んでいらっしゃいます。奥さまと一緒にお店をされていることから、お二人の息の合った接客がお客さまに楽しい時間や心地よい空間を提供しています。曽利さんの強面な印象とは対照的な、あたたかいおもてなしは、特に魅力的でそのギャップに萌えます(笑)

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