鳥取県米子市出身で、18歳のときに大学進学のため広島へ来ました。大学は、県立広島女子大学（現：県立広島大学）で家政学部でした。卒業後は、ユウベル株式会社へ就職、平安祭典で冠婚葬祭業の仕事に15年間携わっていました。イベント企画や店舗立ち上げにも関わりノウハウを習得する中で、次第に自分の店の姿を思い描くようになりました。
実家が呉服屋だったこともあり、自宅で店をして、仕事をしながら子育てができればいいなあと思っていましたので、開業に向けて、退職を期にお店づくりと子づくりに取りかかりました。（笑）自宅の1階を改装して2012年の8月にオープン。今年でちょうど10年になります。1年後には運良く子どもも授かり、最初は子育てカフェのようでした。（笑）

二重焼きをお出ししているカフェですが、ギャラリーやウクレレ演奏会などのイベントやパーティーも行っています。ウクレレ教室もあり、月に1度メンバーが集まって、羊毛フェルトやハワイアンリボンレイなどを制作するワークショップやものづくりクラブなども開催しています。

ハミングバードはハチドリという意味で、「ハチドリのひとしずく」という南米のアンデス地方に伝わる、小さな力の大切さを教えてくれるお話です。私たちも自分にできるひとしずくを見つけて一歩を踏み出そうという物語がとても好きで…決めました。また、ウクレレも扱っていますので、小鳥が歌うようなハミングにもぴったりで、その名前を店名にしました。

最初は好きなものを集めた店にしたいと思っていました。絵画が好きなのでギャラリーを併設し、夫と一緒にウクレレのライブもできるようにしたいと思いました。夫はサラリーマンですが、ウクレレ演奏には出演するんですよ。（笑）
夫の好きな二重焼きをメインメニューとして提供するカフェをすることに…そこからあちこち食べ歩いて、独学でレシピや技術の研究を重ねました。

あんはご近所の和菓子店から仕入れていますが、クリームはオリジナルで、毎朝作ってその日に使い切るようにしています。銅板を使った型で丁寧に作る二重焼は柔らかい生地でふんわりもちもちの食感と、みなさまから好評をいただいています。
定番メニューの他に、気まぐれの餡（日替わり）で毎回違う中身を提供しています。二重焼きしかない店ですが、中身で楽しんでいただけるように、カレーまんじゅうやあんバター、チーズなど和洋の中身だけでも数十種類もあります。
私のお気に入りは、りんごカスタードやいちじくまんじゅうなど…ピーナッツチョコまんじゅうは、コーヒーによく合います。
新しいおまんじゅうを作ることが私のモチベーションになっていますし、お客さまも楽しみにしてくださっています。

ウクレレはハワイへの社員旅行でお土産として買いました。その時は弾くことができませんでしたが、楽器ができたらいいなあと思っていました。
つじあやのさんのウクレレコンサートがきっかけで夫とウクレレを練習しはじめ、路上ライブに出かけては歌っていました。（笑）
演奏活動を通して、ミュージシャンや音楽関係の方との繋がりも増え、ウクレレがその後の人生の大きな転機となりました。

絵画の内覧会やウクレレの演奏会を行いました。アーティストやミュージシャンの知り合いが多かったこともあり集客に関しては、あまり苦労はありませんでした。
大変だったことは、二重焼きを上手く焼くこと、手際よくきれいに焼くことが、なかなかできませんでした。やはり、素人同然だったこともあり、経験不足は否めませんでした。
最初は、夫の両親にも手伝ってもらいながら、「何とかなる！」と思いながら店舗運営のサイクルに慣れていきました。今は、基本的にお店の営業は、私だけでやっています。

ご近所の方はもちろんですが、ウクレレをやっていることもあって遠方からのお客さまも多いですね。年齢幅も広いのも特長です。二重焼きはあまり流行に左右されませんし、男性はあんがお子さんはクリーム、女性は変わった中身がお好み。カレーはみんな好きですね。

FacebookやInstagramなどのSNSやホームページで宣伝告知をやっています。ウクレレのおかげで定期的にテレビやラジオの取材が入ることもありがたいですね。

カフェとしてだけでなく、ウクレレやギャラリーの影響が大きいと思います。特にウクレレは、プロのミュージシャンの方にお店で演奏していただいたり、ウクレレ教室を設けたりとウクレレのカフェとしての位置づけができていることが一番だと思います。
また、コロナ禍で楽器をはじめる人が増えていること、手軽で癒やされるという理由でウクレレが選ばれ少しブームになっていることも追い風になっています。

「みんなが集まる場所」として、コミュニティースペースにしたいという思いで店舗運営しています。二重焼きカフェ、ギャラリーやウクレレ演奏の三本柱ですが、自分が楽しいと思うことをやっていきたいです。自分が良いと思うことを人が認めてもらえるとうれしいですしね。

今までは自分主体でやってきましたが、そろそろ人のために何かできないかと考えるようになりました。自分たちが関わった人たちが楽しそうにウクレレ演奏している姿がとてもいいなあと思っています。裏方としてウクレレに関わっていければうれしいです。
また、楽曲づくりでは2枚目のアルバム制作で満足するものができました。音楽活動としては、自身のためにもお伝えする立場としてもスキルアップしていけたらと思っています。今は、ウクレレを習っている人たちが演奏発表できる場所を準備したりしながら応援していきたいですね。
お店としては、これからも人が集える場として楽しんでいただけるお店づくりをしていきたいです。また、古びた商店街などの復興プロジェクトにも興味があります。やはり、実家の米子のお店がある商店街が気になります。

まず開業資金のめどをつけることですね。実家が呉服店経営をしていることもあり、「借金をするな」と教えられてきましたので、その思いがとても強いのです。開業後も運転資金が必要ですし…やはり、最初の蓄えは必要ですね。
それから…ミュージシャンもアーティストもそうですが、個人事業主のほとんどの女性に関して言えば…いい連れ合いさんを見つけることもね。（笑）

飲食店だけに限らず、他のサービス業や小売店などでも繁盛店になるためには、他店と明確な差別化をすることが重要となります。
自店の強みとは異なり、差別化はあくまでもお客さまが判断するものです。明確な差別化がなければ、お客さまにお店を選んでいただく機会は激減してしまいます。
そのため、自店の強みを活かしながら、他店よりも優位性の高い部分を打ち出す必要があります。
ハミングバードカフェさんには、ウクレレの演奏や実績、経験、また、その音楽関係の人脈などの強みがあり、その強みを使って、他店にはないユニークなカフェを経営されています。また、そのとても強力な強みはなかなか他人がマネできず、ウクレレカフェとしての位置づけを確立されています。
このようなスタイルを実現するのは、なかなか難しいと言われていますが、その運営方法やアイデア、行動力はとても参考になりますね！