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L’Alouette ラルエット

オーナーシェフ
上本裕一 さん

進化を続け、食材の力強さがみなぎる料理の数々。
五感で感じるモダンフレンチをリーズナブルに提供!

白島にオープンした「L’Alouette ラルエット」はカジュアルながら落ち着いた雰囲気で、斬新でモダンなフレンチが楽しめるレストラン。旬の食材と細部にまでこだわった盛り付けが自慢です。気軽に五感でフレンチを楽しんでいただきたいと語る上本裕一さんの思いとは?…ジャックが聞かせていただきます。

フレンチの分野に進まれた理由と開業までの足跡をお聞かせください

上本さん

広島県三次市出身、1983年生まれの39歳です。両親が居酒屋を営んでおり、子どもの頃から料理に慣れ親しんでいたこともあって、物心ついた頃にはもう料理人になりたと思っていました。
高校を卒業後、広島酔心調理製菓専門学校へ進学し、和洋中と総合的に料理の知識を学びました。そこで、外部から招かれたフレンチシェフが作った料理に感銘を受けたのです。普段の授業で習う料理とは全く違う、鴨のローストにリンゴを付け合わせ、リンゴの蒸留酒「カルヴァドス」のソースをかけた斬新な料理で、今まで見たことも食べたこともなかったフレンチのカッコよさに憧れました。
専門学校卒業後は、先生の勧めで北海道のウインザーホテルに就職しましたが、某有名シェフに憧れ東京へ。フレンチレストランやビストロでの修行を経て、26歳でフランスに渡りました。ブルターニュの2つ星レストラン「パトリック・ジェフロア」をはじめ、オーヴェルニュにある「セルジュ・ヴィエイラ」などで4年間の修行を経て帰国し、神戸の「北野ガーデン」でブライダルの経験を積みました。37歳で地元広島に戻り、フレンチレストラン「桜下亭」のシェフを勤めて、2021年11月、念願の自分の店をオープンしました。

インタビューに答えてくださる上本さん…誠実さが伝わってきます

ラルエットはどのようなお店ですか

上本さん

ランチは若い女性、ディナーは年配のご夫婦が多いですね。まだまだ一般的にはフレンチはハレの日の料理というイメージが強いようです。お客さまにフレンチレストランをより身近に感じていただけるよう、リーズナブルな価格でありながらも丁寧な料理を提供する、店構えも雰囲気も気取りのない店でありたいと思います。

モダンフレンチと言われる目にも鮮やか、斬新なお料理の数々!

料理の特長やメニューについてのこだわりをお聞かせください

上本さん

カジュアルでもクラシックでもなく、食材を活かしたシンプルな料理にエスニックなスパイスを組み合わせるスタイル「モダンフレンチ」を中心にしています。
日本人好みにアレンジせず、「フランス人が作るフレンチ」を目指しています。私は日本人ですので、フランスの雑誌や料理本などを見て、フランスの文化に触れながら感性を磨き、毎日のように料理の研究をしています。

フランスの料理雑誌を読んで情報収集もしているそうです

仕入れ先などは、どのようにされましたか?

上本さん

食材の仕入れは、前職でお付き合いのあった業者さんにお願いしています。肉はインターネットを利用して購入することも多いのですが、できるだけ地産地消の食材にこだわりたいので、広島県産のシカやイノシシなどのジビエも使います。
開業にあたっては、業者さんや同業者の人脈はとても大切です。私は広島を離れていた時期が長く、あまり知り合いがいなかったのでとても苦労しました。情報交換やアドバイスをしていただける関係が築けていればとても心強いと思います。

広島県産のジビエの他に、鴨やうさぎなどフランスなどの外国産も使用しているそうです

場所選びについてはどうでしたか

上本さん

食事も会話もゆっくり楽しんでいただきたいので、通行量の多い場所ではなく、ひっそりあるような、こぢんまりしたお店を探していましたが、不動産業者では難しく、居抜き物件の業者に登録すると、情報がまわってきました。
しかし、今思えば、この選び方、立地には問題があったかもと思っています(笑)。やはり、人目に付いたり噂になったりしやすい人通りが多い場所の方が良いですね。

店内は奥に広くカウンター席もあります

開業に際して困ったことや苦労したことはありましたか? 

上本さん

できるだけ料理に専念したいのでホールスタッフを雇用することを考えていましたが、なかなか見つからず、一人で開業することになりました。開業してみると準備不足もあり、人を雇う余裕もなく、ワンオペで店をまわしていかなくてはならないのです。
今も、お客さまの食事の進み具合を見ながら調理をしたり提供をしたりすることは大変ですし、料理やドリンクの説明など接客に不安があることは否めませんが、できるだけ仕込みに時間をかけてギリギリまで準備をし、接客サービスに支障がでないようにしています。

食材はもちろん、普段の業務の中でも常に無駄を出さない工夫をされているそうです

経営上で大切にしていることは?

上本さん

料理人として当然ですが、食材を無駄にしないこと。いかに食材の魅力を活かし、使い切るかを大切にしています。高級食材を使えば華やかで豪華な料理を提供できますが、必ずしも高級食材ではなくても、食材の使い方によっていかに美味しい料理を作ることができるかは、料理人の腕の見せどころだと思います。それに、今はワンオペですから、完全予約制で営業しています。
全体をよく見て無駄な経費や支出を減らし、お客さまに還元できればと考えています。

整理整頓され磨き上げられた厨房…料理に対する誠実さを感じます

今後のビジョンについてお聞かせください

上本さん

大切なことは、お客さまに満足していただくこと。オープンして1年の今は、接客クオリティーを上げることを第一に考えて1人で頑張っていますが、いずれはスタッフを増やし、今以上に料理とサービスをお客さまに提供したいと思います。
将来的には、今よりももっと小さな規模で、より料理に集中できるスタイルの店をやりたいですね。

毎日の仕込みにかなりのウエイトをかけ時間をかけているそうです

飲食店開業を目指している方に、アドバイスがありますか

上本さん

物価高騰や人手不足に加え、コロナのような不測の事態で不安なことがたくさんあります。個人事業者は、大手企業に比べて資金が圧倒的に少ないので、家賃や固定費を抑えて、少しでも余裕を持っておきたいですね。
開業時には借入も必要になることもあるでしょう。私は飲食店を経営している両親からアドバイスを受け、借り入れをせず貯金だけで開業しました。
できるだけ自己資金で開業して、最初から多くを求めず、少しずつブラッシュアップさせる方が、無駄な出費を抑えることができますし、その過程も楽しめると思います。
また、飲食業は体力勝負です。夜遅くまで働くので、食生活が乱れやすく、さらに運動不足にもなりがちです。健康には十分に気をつけたいですね。

開業までのいきさつをお話しをしていただきました!どうもありがとうございます

ジャックのひとこと

ジャック

店内は落ち着いたカジュアルな雰囲気でありながら、斬新でモダンなフレンチを楽しめると話題のお店です。クラシックなフレンチを継承しつつ、「モダンフレンチ」というスパイシーな調味料や食材の魅力を活かした料理手法を取り入れ、多様性に富んだ食文化を意識した料理が目を引きます。
フレンチは、食材の原価が高い傾向にあり、さらに仕込みにかかる時間も多くなるため、料理や接客サービスにいかに付加価値をのせることができるかが重要なポイントとなります。ラルエットさんでは、ワンオペで店をまわすために、上本さんの経験豊富な高い調理技術を活かして仕込みに時間をかけ、営業中は行き届いた接客ができるよう工夫されています。

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