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フレンチレストラン ソンスクレ

オーナーシェフ
為岡輝紀 さん

料理、サービス、雰囲気の全てを追求、
本格的なフレンチをカジュアルに提供!

本格的なフレンチをカジュアルに楽しめる大人の隠れ家レストランとして知られる並木通りの「フレンチレストラン ソンスクレ」。日常的なシーンから記念日などの特別な一日まで大切な人との食事を非日常空間でおもてなししたいと独創的なコース料理を追求するオーナーシェフ為岡さんの飲食業への想いとは?…ジャックが聞かせていただきます。

フレンチの分野に進まれた理由と開業までの足跡をお聞かせください。

為岡さん

安芸区矢野出身、1981年生まれの41歳です。ヨーロッパやフランスへの憧れや、祖父が料理人だったこと、見た目のカッコ良さなどの理由でフランス料理の道を志しました。高校卒業後、まず辻調理師専門学校で基礎を学び、長崎のハウステンボスホテルズへ入社。その後、ベルギーの「Bruneau(ブリュノー)」での研修や、長野県・軽井沢「エルミタージュ・ドゥ・タムラ」で田村良雄シェフに師事しての6年間の修業を経て、フランスへ渡りました。パリの1つ星レストラン「パッシフルール」や二つ星レストラン「サンドランス」などで経験を積んだのち、2012年に帰国。地元広島でフレンチレストランのシェフを3年ほど勤めて、2015年3月、念願の自分の店をオープンしました。

落ち着いた雰囲気でインタビューに答えてくださる為岡さん。カッコいい!

フレンチレストランの開業にあたり念頭に置かれたことは?

為岡さん

フレンチレストランは、気軽に足を運べるイタリアンレストランや寿司屋に比べて、何かの記念日に…といった食べに行くシーンが限られるジャンルです。つまり、メジャーではないニッチな商売と言えるでしょう。料理に手間ひまがかかるので安く売れないし、薄利多売ができないことから、良いモノを高単価で提供する雰囲気を作る必要があります。イメージ的に若い世代のカップルには喜ばれますが、若い層では客単価が上がらないので、ターゲットを絞ることや、様々なアイデアを考える必要性を感じました。

フランス古典料理の技法を大切にしつつ、現代的で奥深い味わいを表現した珠玉のフレンチ

オープン後、困ったことなどありましたか?またその克服法は?

為岡さん

いまでも困りっぱなしですが…(笑)。最初にぶつかったのは、やはりどこの飲食店も同じだと思われる“人の問題”です。店のスタッフ然り、集客然り、とにかく人を集めることが大変でした。スタッフの求人はもちろんのこと、集客について当店は完全予約制なので、食材のロスがほとんどないとは言え、食材を冷凍しないため、客足が確保できなければ仕入れ値の高い原材料を廃棄しなければなりません。

求人や集客を促進させるPR手段としては、かつてのように広告媒体を利用するよりもインスタやブログなどのSNSを使って自力で情報を発信する方が効果あったようです。事前に店の情報インターネットでしっかりリサーチする方が多い最近の傾向が反映されたのだと思います。ちなみに予約もネット予約が主流になっています。

フレンチは仕込みの料理…どうしても丁寧な仕事をすると時間がかかる

開業して8年目に突入した店の特長や顧客層について教えてください。

為岡さん

店名の「ソンスクレ」とは、フランス語で“100の秘密”という意味です。お客様にとって「秘密にしたいとっておきのお店」になることを願って命名しました。セールスポイントは、「料理」、「サービス」、「雰囲気」のトータルバランスに配慮していること。例えば、店でお出しする料理については味だけでなく、“ボリューム”と“可愛さ”を兼ね備えるようにしています。しかし、いくら料理がおいしくても従業員の感じが悪かったり、食器やインテリアを含め、店の雰囲気がよくないと、大切な人との食事の時間が台無しですからね。すべての面で満足していただける店つくりを自負しています。

顧客層は20代の若い方から70代以上の高齢の方まで幅広いのですが、新型コロナの余波で利用されるお客様の様子が少し変わってきました。例をあげれば、コロナ以前は3~4人一組で利用されるお客様が主体でしたが、今年の7月あたりからは、カップルのお客様が基本になっています。ヤング層から子供が手を離れた熟年のご夫婦まで、様々な年代の男女2人連れのお客様で席が埋まるようになりました。

ゆったりと食事を楽しみながら、素敵な時間を過ごすのにピッタリな店内

為岡さんのイチオシメニューと、料理へのこだわりは?

為岡さん

一番のおススメは、魚介類、肉、野菜、どれも季節の旬の食材を使用したお任せコースです。僕の料理は基本的にクラッシックなスタイルですが、視覚的にも楽しんでいただけるよう見た目を可愛くすることにも気を配っています。

個人的にワイルドで素朴な調理も好きなので食材にジビエを使うことも多く、猟師さんから獲りたての鴨などを入手できた時などは、羽の処理から解体まで、すべて自分で行います。あと、“スチームコンベンション”のような温度設定や自動調理ができる機能付きの最新機器は使っていません。今のところ、昔ながらの厨房設備や調理器具を使って自分の感覚で調理する方がやりやすいんですよ。ほかにもフレンチでは珍しい有田焼など、和のムードを醸し出す陶器の食器を使用しているのも、こだわりと言えるかもしれません。

レアに近い状態で食すのがフレンチ流。肉の旨味を十分に堪能できる!

これから計画していることや将来の夢はありますか?

為岡さん

今年の年末は、初めての試みとして “おせち”の販売を予定しています。日本料理店とコラボして和とフレンチが楽しめる新しいおせちを計画していますのでご期待ください!

近い将来、実現したい夢としては介護分野への進出ですね。年をとっても食事が重要であることは変わりません。例えば、物を噛んだり、咀嚼できない高齢者の方にもフレンチの技法を使えば、美味しい料理を提供できる気がします。介護施設や高齢医療関係の方との連携も視野に入れ、自分がこれまで培ったスキルを役立てていきたいと考えています。

いつもより少し贅沢なランチやグループでの利用も楽しめるお店として人気

フレンチレストラン開業を目指している方に何かアドバイスがあれば。

為岡さん

フレンチは飲食店の中でも少し特殊なので、安定した経営をするためには、「家賃をおさえること」「店内のスペース広げず、理想はカウンター5~6席にすること」「客単価は1~2万円に設定すること」などを心掛けてみてはいかがでしょう。もし、仮に自分がいまの店を閉めて、どこかで再出発するとしたら、場所はビルの何階でも良いので、これらのポイントを踏まえて店を開くと思います。

僕自身、コロナの感染拡大により客足が半分になることも経験しましたし、今後も何が起こるかわかりませんからね。フレンチで開業される場合は、まずは常連さんで確実に満席にできるサイズ感をお勧めします。

並木通りにひっそりとたたずむ隠れ家…フレンチらしい入口

ジャックのひとこと!

ジャック

高級感のある落ち着いた雰囲気の中で、王道のフレンチが楽しめると話題のお店です。
フレンチの伝統を受け継ぎながらも、和の手法や調味料も使用するなど、斬新な新しいスタイルへも挑戦されています。
どのお皿もシェフのセンスが際立っており、見た目も華やかな盛り付けは、美しいだけでなく、しっかりとボリュームもあります。
「目配り」「気配り」「心配り」でホスピタリティが高い接客は、ソンスクレさんが長くお客さまに愛される魅力の一つですね。
グルメガイド「ミシュラン」や「ゴ・エ・ミヨ」にも掲載されるのも納得です!

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